埼玉 vs. 千葉 の行方は...
今回はラフな感じで書きたいと思います。毎回真面目だと疲れてしまうので。(笑)
タイトルにもあるように今回は互いに隣接している県同士の比較をしていきたいと思います。多くの都道府県がライバル争いをしていますが、埼玉と千葉のチョイスは筆者2人がこの2県の出身だからです。昔は互いの県をディスり合ってたこともありました。(笑) 2つの県はよくネットでネタにされるのですが、実際何がなんだか分からないと思いますので、できるだけ分かりやすくまとめてみました(分からなかったらごめんなさい。)
●基礎統計は明らかに...
人口、人口密度、県内総生産は埼玉が多く、経済の基礎的な部分は圧勝です。まあ人口が多いからその分経済活動も大きいと考えるのが自然ですね。埼玉はさらに面積が小さいため人口密度は愛知を飛び越して4位に入ります。千葉は惜しくも惨敗。しかしこの2県が全国トップレベルの争いをしていることは言うまでもありません。ちなみに人口と経済活動の関係ですが、もちろん例外も存在します。神奈川は人口が大阪、愛知よりも多いけど県内総生産はこの2府県に惨敗しています。理由はこれら2府県が三大都市圏の中核であり、特に愛知は工業生産額1位の中京工業地帯があるからです。
●海無し県、山無し県
埼玉県は内陸なのでもちろん海がありません。それに対して千葉県は500m以上の山が無い丘陵地域です。海はかなりの観光資源になります。幕張海浜公園やマリンタワーが千葉市にあり、習志野市には自然保護区である谷津干潟(集客効果は不明ですが)があります。しかし袖ヶ浦市や市原市などの京葉工業地域の海岸部には工場地帯があるので、綺麗な海を見たい、入りたいなら房総の田舎の方に行かないといけません。埼玉側からしたら津波が来ないという利点が働きます。
ちなみに観光の視点から見ると、埼玉には秩父、長瀞を中心とした山間地域の観光に行政や西武鉄道が一体となって力を入れています。登山や長瀞の紅葉、秩父の祭りなどですね。千葉にはマザー牧場、ドイツ村などの施設がありますが明らかに集客では埼玉の勝ちですね。
この2県の話をするとき、千葉県民は「埼玉に海ないだろ」と言い、埼玉県民は「津波がこないから勝ちだな」 と返すのが定番です。ちなみに山の場合ではネットにあるやつだと千葉県民が「低い山が好きなやつもいるだろ」と。需要の潜在性は無限大の可能性を秘めているので言ってることは正しいですね。(笑)
●交通系では千葉が優勢
埼玉にはJR東日本の新幹線が全路線乗り入れている大宮駅があるため、北海道、東北、北陸、信越などへのアクセスが抜群です。また、大宮駅は首都圏の北側の玄関口といってもいいくらいの鉄道の集積があります。鉄道の街と呼ばれているのは伊達ではありません。対する千葉には多くの港があります。成田国際空港を始め、千葉港、木更津港などが代表的ですね。こちら側は国外に開けていますね。貨物の取り扱いも存在するので貿易金額に合わせて生産額が大きくなる特徴があります。どちらも国内重要拠点ではありますが総合的に千葉が優勢でしょう。
夜の大宮駅
●両県の住みやすさ
とは言え、今までの話は行政が享受している利益のお話。ここからは実際に住むにあたって、"一般人''がどのような恩恵を受けられるかを記していこうと思います。
皆さんは住みたい街ランキングというものをご存知でしょうか。RECRUITのグループ会社であるSUUMOが調査し、関東版では埼玉、千葉を始め東京、神奈川、茨城の都県内にある住みたい街(駅)を対象にこれらの都県に住む7000人からデータを取っています。埼玉県内にある駅は9位と10位にそれぞれ大宮と浦和がランクインしました。千葉県内トップは18位の船橋、次点が21の柏でした。ちなみに総合1位は横浜。東京はもちろんのこと神奈川にも頭が上がりません。それはさておき、このランキングでは埼玉の圧勝です。また、JR東日本が実施した「みんなで決める!JR東日本1634駅ランキング」の住みたい駅部門では1位大宮、2位が柏という結果になりました。こちらでも埼玉が優勢ですね。
今は亡きそごうがある柏駅
しかし、東洋経済新報社が発表した「住みよさランキング2018」では全国の都市を対象とし、各都市での住みよさ度を16指標だし計算しています。これでなんと1位が千葉の印西、次点の成田が10位、流山が14位です。埼玉県は50位以内に存在しませんでした。戦いにすらなりませんね。(笑)
さて都市研らしくお仕事(考察)していきましょう。まず埼玉が優勢だった住みたい街ランキングの方ですが、大宮、浦和、柏、船橋と何か共通点がありそうです。実は、これらの街は郊外核の機能を有しています。都心に直結する鉄道路線があり、駅周辺には大型の百貨店、ファッションビル、銀行など。また浦和には県庁、その他にはオフィスビルが立ち並んだりしています。いわゆる都会と呼べるようななんでも揃うまちです。多くの人は東京は人が多すぎるから地元の近くの時間的距離が短く、人の少ない都会に住みたいと思うのでしょう。以上が「郊外核ランクイン」これが住みたい街の特徴です。
さて、住みよさランキングの都市にはどのような性質があるのでしょうか。印西、成田、流山...。全国区で知られるのは成田山新勝寺がある成田くらいでしょうか。県外の人達からしたらマイナーすぎてあまり分かりませんね。これらの都市は先ほどと違って完全なベッドタウンです。百貨店というより郊外のショッピングモールといったロードサイド店舗が多く地域密着型と呼ぶのが正しいでしょう。また、都市公園や戸建て住宅を建てる土地の余裕もあり環境はとても良いです。自治体の財政力や病院の数なども加味しているため、1位に輝いた印西は胸を張って「日本一のまともな都市」と言い広めることができます。
しかし、この住みよさランキングには落とし穴があります。それは移動手段について考慮されていないということです。住む人がどこに通勤するか分からないから算出できないという側面があるのです。ただ印西、成田から東京に通勤するのはあまりおすすめしません。印西市の中で1番東京に近い千葉ニュータウン中央駅から1番安く行ける山手線の日暮里駅までで片道1017円、成田市中心にある京成成田駅からは、片道722円ですが特急利用でも1時間は超えます。このようなデータが出てくると結構人によって住みたいか住みたくないかが別れますよね。あくまでも''住む分には良いよ''という指標で、しかも計算なので。人間の意志には抗えませんね。
埼玉県と千葉県どちらも違ってどちらも良い。五分五分といったところでしょう。
●元も子もない話だけど
行政単位とはあくまで治めている政府の主権が及ぶ範囲です。実際の生活や繋がりのある地域とは何の関係もありません。地方の県では県庁所在地から各県内の地方都市へ何らかの強化された結びつけがあるのですが、東京近郊の千葉や埼玉、神奈川ではそうはいきません。東京からの放射方面が発達しているので、市川、松戸、川口、川崎北部などは東京が近く通勤も買い物もそちらが基本です。つまりは県内が1つにまとまってないのです。埼玉、千葉とは言ってきましたけど、実際はその地区が東京に向けた時間の支出が大きいのです。本来ならばそのように分割して考えるべきなのに行政単位に縛られてるんですよね。松戸、柏、流山の皆さんは地域争いするなら習志野や船橋や幕張も敵ですよ!
それじゃあ都道府県の枠とは何か。地方交付税交付金などお金を握っているのは県ですし、公社や地方銀行も県単位が多いです。県内で話し合うことも必要だけどその枠に囚われ過ぎないでね、ということです。「お前が1番枠にはめて話してたじゃないか!」と言われるかもしれません。おっしゃる通りです。ただ、無駄なことは書いていないつもりですし(そんな事無かったらほんとすいません!)、地域間の競争が発展を産むという考え方もあります。その都度最良の方法を模索していきましょう。
●最後に
基礎統計に差異は存在しました。しかし他のデータと比べるのが困難なのです。経済的な優劣を付けるのはとても簡単なことですが、国内志向と国外志向、山と海などそもそも土俵が違うこと、そして人の好みによるところが大きいのです。この埼玉、千葉の2県は違う特性を持つので、需要を取り合う競合ではなく分け合った共生が望ましいと思います。そして、県という単位だけでなくこれまであまり考えてこられなかった地域形成(例:常磐線・常磐道沿線)にも焦点を当てるべきです。また、都県という枠から東京都市圏という1つの枠で物事を考察する必要もあります。
今回出てきた細かな要素については以後特集していきますので、是非ご覧ください。
0コメント