よく言われる「都市圏」とは?
都市と呼ばれる地域の括りの1つとして、「都市圏」というものが存在します。中学校の地理で皆さんは「三大都市圏」ということばを習ったと思います。報道や交通では首都圏などという単語もよく使いますよね。一見このことばたちは定義がなくとても漠然としているように見えますが、実はとても多くの定義、算出方法があるのです。今回はそれについてお話ししていこうと思います。
1. 都市と都市圏の違い
当たり前ですが「都市」と「都市圏」は意味が違います。日本の場合は1つの行政単位として「都市」という言葉が用いられます。分かりやすい例を挙げるとするならば、「政令指定都市」ですね。人口が50万人以上の都市が成立要件にあり、市内に管轄の行政区を設置できます。もちろん市なので、1つの市役所に1つの議会があって市長が1人選出されます。同じような法で定められる大都市には「中核市」があったりしますね。対する「都市圏」はそのような都市や町村の塊であり、行政の力が及ぶ範囲(市町村域)で区切るのではなく、それらを超えた人々の生活や経済が密接に関係している地域圏域と言い換えることができます。全体を管轄する役所や長は存在しません。
日本の首都・東京では人口から2つの違いが明らかになります。東京都区部では約951万人、都全体では約1378万人なのに対し、東京都市圏では約3600万人にも上ります。埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県と山梨県の一部地域も包括した大都市圏です。これが東京が世界一の人口と経済を持ち合わせる理由です。しかし世界一という認知度は低いですね。恐らくそもそも都市圏の定義が定着してないから、都道府県単位で都市を認識するから、そもそも興味が無いから(これが1番有力です)が考えられます。
2. 都市圏の定義と考察
都市圏の定義はいくつか存在します。東京都市圏の人口として採用されたのは都市雇用圏と呼ばれる定義です。その他に総務省、国土交通省が各々に設定しているものもあります。
総務省に置ける大都市圏・都市圏の中心は50万人以上の都市であり、都市圏の空白地帯がうまれ、その地域での人口動態が分からないこと、また同一都市圏の諸都市は同じ文化圏として包括されることに関しては意味を発揮しますが、1.5%という低い通勤通学率の設定により通勤圏を把握することの意義に関しては適さないことが分かります。逆に国土交通省の定義では核都市が10万人以上が要件のため総務省のそれと同じように小都市の間の関係が分かりにくいこと、核都市相互が半径20km以内に近接してた場合は同一都市圏に組み込むという恣意的な要件を持っています。対する都市雇用圏はDID(人口集中地区)の人口が1万人以上の小さな都市からでも設定が可能、10%とというそこそこ高い通勤通学率設定で結び付きの強い都市を抽出しています。ただ、郊外都市が複数の都市への通勤率が10%以上を示した場合、高い方の都市圏へと組み込まれます(相対都市圏)。そのため実際の都市規模よりも小さく反映されることがあります(京都都市圏、大阪都市圏、神戸都市圏など複雑な通勤事情を持つ都市圏など)。都市雇用圏はもともと日本に共通する定義の都市圏がなかったために作られました。現在では経済産業省で使用されています。
3. おわりに
今回は都市圏の定義について紹介しました。都市圏は経済や文化の側面を強く引き出し、またそれを読み取るのには最適なツールです。ぜひ皆さんも都市圏を経済、歴史文化などの考察に使って見てください。ここで紹介した都市圏の定義以外にも行政が恣意的に設定するものも存在しますがまたそれは機会があったときにしましょう。
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